セブ島には、豚の脳みそを鉄鍋で炒めて、そこにご飯を浸して食べるという料理があります。名前をトゥスロブワ(Tuslob Buwa)といいます。
名前だけ聞くと身構えてしまう料理ですが、セブでは老若男女に愛されている、まぎれもないソウルフードです。今回、弊社のスタッフ9名で、セブ市内でいま人気の専門店「Big Brain(ビッグブレイン)」のカサンバガン店に行ってきました。メニューの全価格、自分の手で炒める調理の流れ、そして実際に食べた感想まで、9人分の答え合わせをそのままお伝えします。

目次
1. トゥスロブワとは何なのか
トゥスロブワは、豚の脳みそとレバーを鉄鍋で炒め、ぐつぐつと煮詰めたものに、プソ(Puso)と呼ばれるご飯を浸して食べるセブの料理です。
プソは、ヤシの葉を編んだ小さな籠にお米を入れて茹でたもの。ひし形の可愛らしい見た目で、セブの街角ではどこでも売られています。フィリピンの中でもセブならではの食べ方です。
料理の名前は、そのまま食べ方を指しています。ビサヤ語でトゥスロブ(Tuslob)が「浸す」、ブワ(Buwa)が「泡」。煮詰まって泡立った鍋に浸して食べる、という意味です。
発祥はセブ市のパシル地区。もともとは、豚を丸ごと買えない人たちが安く手に入る脳みそでお腹を満たすために生まれた料理だといわれています。そこから広がって、いまではセブを代表するストリートフードとして、Netflixのドキュメンタリー番組「Street Food: Asia」のセブ回でも取り上げられました。
発祥の地であるパシル地区とスバ地区では、毎年トゥスロブワのお祭りが開かれています。2026年1月8日に行われたもので11回目。地元紙サンスターの報道によれば、スバ地区だけで約300ものテーブルが並び、それぞれのテーブルに30個ほどのプソが用意されて、訪れた人が自由に食べられるようになっていたそうです。地域そのものの誇りになっている料理だということが分かります。
豚の脳みそを炒めて煮詰めた「熱々のディップ」に、ヤシの葉に包まれたご飯を浸して食べる料理です。1つの鍋を2〜3人で囲んで、めいめいがプソを浸していきます。
2. Big Brain カサンバガン店はどんなお店か
今回うかがったのは、セブ市カサンバガンにある「Big Brain」。トゥスロブワの専門店です。
お店といっても、いわゆるレストランの建物ではありません。砂利敷きの広い敷地に、屋根から電球を吊るして、テーブルと赤いプラスチックの椅子を並べたオープンエアの店です。夜になると電飾がともって、ローカルのお客さんで席が埋まっていきます。

注文は、敷地の一角に建っている小さな建物の窓口で行います。ここで注文と会計を済ませてから席に着く形です。

English圏の食レビューでは、Big Brainのトゥスロブワは「コーンスターチでとろみをつけて量を増やしていない」という点が高く評価されています。安く仕上げるためにでんぷんで嵩を増している店もあるなかで、ここは脳みそそのものの味がしっかり出る、という評価です。実際に食べてみて、その評価には納得がいきました。
3. 【2026年9月】全メニューと価格
訪問時にメニューを撮影してきましたので、そのまま全品掲載します。表示はすべてフィリピンペソ、VAT(付加価値税)込みの価格です。

メイン(MAIN CHARACTER)
| メニュー | 価格 |
|---|---|
| トゥスロブワ 2人前 豚の脳みそ・玉ねぎ・スパイスは無制限/唐辛子と黒胡椒も無制限/プソ10個が無料(プソは無制限ではありません) |
₱269 |
| サードホイール(THIRD WHEEL) 人数が奇数のグループで、3人目ごとに加算されます |
₱79 |
サイドメニュー(SIDE KICKS)
| ギナボット | ₱79 |
| チキンスキン | ₱79 |
| プロベン | ₱75 |
| フライドイサウ | ₱79 |
| ポークチョップ | ₱99 |
| カラマリ(イカリング) | ₱169 |
| シシグ | ₱180 |
| ダイナマイト | ₱79 |
| ベジタブルルンピア | ₱79 |
| シューマイ(揚げ・蒸しから選択) | ₱65 |
| プソ(追加) | ₱10 |
ドリンク(BEVERAGES)
| コーラ/スプライト/ロイヤル | ₱65 |
| マウンテンデュー | ₱65 |
| フォーシーズンジュース | ₱65 |
| パイナップルジュース | ₱65 |
| ソラ アイスティー | ₱95 |
| リトロ | ₱200 |
| ボトルウォーター | ₱35 |
お酒(TIPSY SIPS)
| サンミゲル ピルセン | ₱85 |
| サンミゲル フレーバー | ₱85 |
| サンミゲル ライト | ₱85 |
| レッドホース 330ml | ₱95 |
| スミノフ ミュール | ₱95 |
| 氷入りカップ | ₱15 |
なお訪問時、メニュー表のスペシャルルンピア、スイーツ、レモネードの欄はテープで塞がれていました。この日は提供されていなかったということになります。
1ペソをおよそ2.7円で計算すると、メインのトゥスロブワ2人前₱269は約730円。1人あたり365円ほどです。為替は日々動きますので、あくまで目安としてご覧ください。
4. 注文の仕組みに、少しクセがあります
このお店の注文には、日本人が戸惑いやすいポイントがあります。
まず、トゥスロブワは2人前で1セット(₱269)という売り方です。1人前という単位がありません。そして、この1セットには脳みそ・玉ねぎ・スパイスのおかわりが無制限で付いてきます。唐辛子と黒胡椒も同じく無制限です。
一方で、無料で付いてくるプソは10個までで、こちらは無制限ではありません。足りなくなったら1個₱10で追加できます。「ご飯が無制限」ではなく「具が無制限」という組み立てです。
もう一つが「サードホイール(THIRD WHEEL)」。メニューには、人数が奇数のグループで3人目ごとに₱79が加算される、と書かれています。2人単位で割り切れない分の追加料金、という考え方です。
私たちは9名で行き、トゥスロブワは4セットを注文しました。9名で4セット、つまりテーブルには鍋が4つ並ぶことになります。

サードホイールの適用については、口コミサイトに「グループの人数によって説明が違った」という投稿も見られます。メニューの文面だけで判断せず、窓口で人数を伝えて、何セットになるかを確認してから注文するのが確実です。
5. 調理は自分たちでやります
このお店の一番の特徴は、トゥスロブワを自分たちで炒めることです。
注文すると、テーブルにカセットコンロと鉄鍋がセットされ、そこに脳みその塊と調味料、そしてプソの入った籠が運ばれてきます。あとは自分たちで火にかけて炒めていきます。
鍋に入っている状態の脳みそが、こちらです。

ここが、ほかの店との大きな違いです。トゥスロブワというと、なめらかなペースト状のものを想像される方が多いと思います。実際、そういう店もあります。
ですがBig Brainのものは、脳みそを崩して混ぜたもので、粒がはっきり残っています。すり潰して均してあるのではなく、崩しただけ。これが後で食感の違いになって出てきます。
火をつけたら、あとはひたすら混ぜていきます。途中で青唐辛子と刻んだ薬味を加えると、白っぽかった鍋の中に緑が散って、一気に食欲をそそる見た目に変わります。

炒めているうちに水分がとび、色が白から茶色へと変わっていきます。ぐつぐつと泡が立ってきたら食べごろです。料理の名前どおり、「泡」に浸して食べる状態になりました。

▲ 実際に炒めている様子です(27秒)
あとは、プソをヤシの葉から取り出して、手で持って鍋にディップするだけ。熱々のところを、そのままいただきます。

Big Brainでの流れ
- 窓口で人数を伝えて注文・会計
- 席にカセットコンロと鉄鍋、脳みそ、プソが運ばれてくる
- 火にかけて、崩しながら炒める
- 青唐辛子と薬味を加えて混ぜる
- 茶色く煮詰まって泡立ったら完成
- プソを手に持って、鍋にディップして食べる
6. 実際に食べてみた感想
ここからが本題です。スタッフ9名、全員で食べた結果をお伝えします。
結論から言うと、正直めちゃくちゃ美味しいです。9人いて、美味しくないと言った人間は1人もいませんでした。
まず、口に入れて最初に来るのは味ではなく食感でした。例えるなら、豆腐を潰したものを食べている感じです。ねっとりしているわけでも、ざらついているわけでもなく、ほろりと崩れる柔らかさ。先ほどの「粒が残っている」という話が、ここで効いてきます。

そして、臭みがまったくありません。内臓料理と聞くと独特の臭みを心配される方が多いと思いますが、その心配は無用でした。
味は、しっかりと塩気のきいた味わいです。これをプソにたっぷり絡めて食べると、これがもう最高の組み合わせで、手が止まりません。塩気のある濃いおかずと、素朴な塩気のないご飯という、日本人にもなじみのある関係です。いくらでも食べられます。
そしてお酒に非常によく合います。サンミゲルやレッドホースを片手に、鍋を囲んでつつく。この店に地元のお客さんが集まっている理由が、食べてみるとよく分かりました。
「豚の脳みそ」と聞いた時点で構えてしまうのは自然なことです。ただ、実際に食べてみると、想像していたようなクセの強さはありませんでした。セブでしか食べられないものを1つ挙げるとしたら、私たちはこれを推します。
7. 脳みそが苦手な方でも大丈夫です
とはいえ、どうしても無理という方もいらっしゃると思います。ご家族やお友達のなかに1人そういう方がいて、お店選びに悩む、というケースもあるでしょう。
その点、Big Brainにはサイドメニューが充実しています。イカリング(カラマリ)、シシグ、チキンスキン、ルンピア、シューマイ、ポークチョップなど、脳みそに手を出さなくてもお腹いっぱいになるラインナップです。


ですので、「1人だけ苦手な人がいるから行けない」という心配はいりません。全員が同じテーブルで、それぞれ食べたいものを食べられます。
8. 行かれる前に知っておきたいこと
Big Brain カサンバガン店
- 場所:セブ市カサンバガン、Pres. Laurel St 沿い(Villa Aurora Tennis Court の敷地)
- 営業時間:16時〜24時ごろ
- 支払い:現金のご用意を
- 席:屋外の砂利敷き。歩きやすい靴のほうが安心です
Big Brainはカサンバガン店のほかにも店舗があります。夜の営業が中心のお店ですので、時間帯にはご注意ください。営業時間や店舗の状況は変わることがありますので、お出かけ前にご確認いただくのが確実です。
それから、屋外の席で、テーブルの上で自分たちで火を使います。小さなお子様連れの場合は、席の位置に気を配ってあげてください。
9. まとめ
セブのトゥスロブワについて、実際に行って分かったことをまとめます。
この記事のポイント
- トゥスロブワはセブ市パシル地区発祥の料理。「浸す(トゥスロブ)」「泡(ブワ)」がそのまま名前になっている
- Big Brain カサンバガン店は2人前₱269。脳みそ・玉ねぎ・スパイスは無制限、プソは10個まで無料
- 人数が奇数の場合はサードホイール₱79。注文時に何セットになるか確認を
- 調理は自分たちでやる。テーブルのコンロで炒めて、泡立ったら食べごろ
- Big Brainの脳みそはペースト状ではなく粒が残る。食感は豆腐を潰したような柔らかさ
- 臭みはなし。塩気のある味で、プソにもお酒にもよく合う
- 苦手な方にはサイドメニューが充実している
セブ島には海の楽しみ方がたくさんありますが、夜のセブにもこういう食べ方があります。ジンベイザメやアイランドホッピングで一日遊んだあと、その日の夜に足を伸ばしてみるのもおすすめです。
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